去年、浸水で被災したタワマンがありました。このタワマンの浸水対策は敷地内に降る雨水に対するもので、これでは不十分でした。なぜなら、
浸水想定区域内だからです。計画段階で、敷地外から流入する水への対策が不可欠でした。
このタワマン、地下に貯水槽を設け、それを下水道に排水する仕組みを持っていました。さらにその後、住民の発案で、貯水槽への流入を遮断できる仕組みを導入するようです。このタワマンが浸水想定区域内にあるということを考えれば、どちらも見当違いの対策です。
このタワマンの浸水対策、ハイスペックどころではありません。流入する水を土嚢で防いでいました。しかも、入居者の人海戦術で。多摩川を越堤してくる水が少なかったからよかったようなものの、冷や汗ものだったということを、開発業者も住民も自覚しておくべきです。
マンションを買う時、自然災害リスクを確認することが大事です。販売事業者が重要事項説明で水害リスクを伝えることが義務化されたのは、ようやく今年になってからです。
このタワマンが停電に陥ったのは、地下にあった電力の受変電設備が浸水したからでした。不便は1月以上に及びました。国は今年、「電気設備は浸水リスクが少ない場所へ配置すること」というガイドラインを設けています。