10年前の地震で、福島第一原発は自動的に緊急停止しました。外部電源が途絶えても非常用の発電機が稼働しました。でも、それで十分ではありませんでした。

地震から40数分後にやってきた津波で非常用電源も失われ、全電源喪失に陥ったからです。

運転停止しても原子炉のなかでは崩壊熱が発生し続けます。原発は冷却できなくなり、水素爆発が起きます。こうして大量の放射能がまき散らされました。INESレベル7の深刻な事故でした。

作業員や住民が被ばくしました。多くの住民が住む家も故郷も失いました。海も汚染されました。風評は漁民を苦しめ続けています。いまもって、原子炉格納容器内のデブリや汚染水の放射能は手におえない状態です。

原発事故は人災かどうか? 事故を防ぐためにできることはあったのかなかったのか? この場合、この問題は事故の責任を問う裁判で争われました。人災ではない、という判決が下されています。

河北新報:見えない敵-エリートパニック(上)思考停止 悪夢の始まり