『観天望気』というのがあります。雲を見るなどの目視情報や体感を経験とあわせて天気変化を判断することです。
ローテクの代表みたいですが、これが案外大事です。
13年前の8月5日、東京の雑司ヶ谷で痛ましい事故が起きました。下水道作業中の作業員5名が、雷雨による下水道の急増水で流されて犠牲になったのです。遺体は、後日、下流の神田川で発見されました。事故は11:50から12:05の間に起こったとみられています。
雷雨の始まりから10分か20分の間の出来事でした。大雨警報が発表されたら作業を中止することになっていましたが、発表されたのは12:30でした。局地的な雷雨については大雨警報も天気予報もあてにはなりません。
そんなとき役に立つのが観天望気です。現場には気象監視員が配置されていました。もくもくと湧く雷雲は見えたはずです。雷鳴も聞こえたはずです。こういう場合の観天望気の重要性が認識されておれば、事故は防げたかもしれません。