人類は爆発物や毒物、それに飛行機など危険なものを使いこなしてきた。「原発は危険だが、挑戦する価値のある技術だ」。
そういう議論がありました。しかし、そう主張するためには、少なくとも使いこなせるのでなければなりません。
設計基準事故と設計基準外事故という言葉があります。設計基準事故は,設計基準が満たされなかったために起きる事故で責任が明確です。津波による全電源喪失を別にしても、福島第一の場合、明らかな設計基準事故がありました。
設計基準外事故は設計基準が満たされていても起きる事故で,責任を問うのは難しくなります。全電源喪失はこれにあたる、東電はそう主張し、判決はそれを認定しています。しかし、設計基準は新しい知見とともに更新されなければなりません。
しかも、危険な技術の場合、設計基準の更新は迅速でなくてはなりません。耐震指針に津波対策が盛り込まれたのは2006年でした。その後5年間も対策を取らないという会社、国に原発を扱う資格はありません。